広い世間を狭くする

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熊本に行ってきた。

通ってきた岩手県釜石市と熊本の被災者の住民交流の企画のため。

釜石の住民たちは5年間の仮設暮らしを終えたところ。熊本の人たちはこれから始まるところ。

お互いが交われば、私が話すのとは違う「効果」が得られると思った。

その問題意識は、以下に書いた。

NHK地域づくりアーカイブス「見えているのは、どんな”顔”?」

 

まあ、それはそれとして…。

今回、話したいことは別。

 

実は熊本、入るまで誰と会うかが決まってなかった。

事前にアポをとりかけていた人が2人いたが、忙しい時期ゆえ、2人ともNGとなった。

困った。

だが、行ってみることにした。

 

熊本入りの前、佐賀で別件があり、SSF(NPO法人スチューデントサポートフェイス)の谷口仁史さんらと合流した。谷口さんは、若者支援、アウトリーチのプロで、その業績はNHK番組「プロフェッショナル」でも紹介されている。

谷口さんに連れて行ってもらったのは、佐賀市内のTOJIN茶屋。こども食堂をやっている。

ここでランチを食べていると、谷口さんのご友人が表れる。

佐賀未来創造基金の山田健一郎理事長。

そこで、熊本のアポがとれていないことを伝えると、山田さんがさっそくお知り合いに連絡してくれた。

RQ九州の山口さん。

これで1件入った。

 

佐賀での用事を済まし、谷口さんたちの車で熊本に連れて行ってもらう。

車内で、以前に取材を受けた毎日新聞福岡支局の青木さんに連絡すると、熊本支局につないでくれた。20時なら、復興状況など、記者さんたちの情報を逆取材させてくれるという。

これで2件目が入った。

 

すると、車内で先ほどの山田さんから谷口さんの携帯に着信。

熊本空港そばの益城町の工業団地エリアでユニットハウスを運営しているNPO法人シビック・フォースの担当者も対応してくれるという。

これで3件目が入った。

 

熊本入りして、RQ九州へ。

突然の訪問にもかかわらず、親切に対応していただく。

住民交流の熊本側のカウンターパートとしては、東無田エリアがよいのではないかと、ボランティアコーディネーターの松本さんをご紹介いただく。

これで4件目が入った。

 

その後、毎日新聞熊本支局に行き、被災状況、復興状況を聞き取る。

谷口さんたちの熊本のお知り合いも混じり、深夜まで情報交換、意見交換。

そして翌朝、東無田公民館とNPO法人シビック・フォースが運営するユニットハウスを訪問する。

 

驚いたのは、行く先々で知り合いに出会ったこと。

 

東無田公民館で会った区長さんからは、そこにNHK「復興サポート」の取材が入っていることを聞き、ディレクターをつなげていただく。

NHK「復興サポート」は釜石でずっとお付き合いのあった番組。

そもそも今回の住民交流の構想も、そこのブログで書いている。

さっそくディレクターと連絡を取り、意見交換。

 

NPO法人シビック・フォースが運営するユニットハウスでは、対応してくれた新城さんから、実は6~7年前に沖縄の宮古島で会っているという話を聞く。

私を呼んでくれた講演会の主催者メンバーだった、と。

 

おまけに、毎日新聞熊本支局を訪れた際に顔を出してくれた支局長は、十数年前に私に取材しているという。

支局長が訪問を受けて書いてくれたコラムが以下。

毎日新聞「支局長からの手紙」

 

なんともまあ、世間は広いようで、狭い。

 

でも、同時にこうも思った。

アポがとれなかったからといって、熊本入りをあきらめていたら、そもそもこの方たちとお会いすることはなく、世間は狭いと実感することもなかっただろう、と。

 

広い世間に飛び込んだからこそ、世間は狭いとも感じられた。

ひるんでいては、世間は広く、手掛かりがないまま。

世間が広いとか狭いという感覚は、自分の行動がつくりだすものなのだろう。

今日は暑いか涼しいかという受け身の感覚とは、また別物だ。

 

昼過ぎ、熊本空港を発って羽田へ。そのまま午後の「福祉人材戦略フォーラム」のシンポジウムへ。

懇親会場へ行くと、参加していたゼミ学生ら2名が入口付近でもじもじしている。

「どした?」

「帰ろうかと思って…」

「なんで?」

「だって、何話していいかわかんないし…」

 

ふー。

 

世間は広い。大人たちは遠くに見える。気後れする。帰りたくなる。…すべて、わからないではない。

「わかった。無理しなくてもいいよ」と言おうかとも思ったが、熊本の直後だったので、私もがんばってしまった。

「大丈夫だよ。『今日は楽しかったです』と言えば、あとは向こうからいろいろ話したり、聞いたりしてくれるよ。せっかくここまで来たんだから、今日は名刺10枚もらうまで帰っちゃダメ!」

その2人が比較的ものおじしないタイプだったこともあった。

 

「え~」と言いながら、テーブルの周囲で談笑する大人たちの群れに向かっていく2人。

懇親会の間、ちらちら目をやると、結構いろんな人たちと楽しそうに話している。

翌日、2人からそれぞれLINEがきた。

「すごくすごく楽しかったです」

知り合った人たちと2次会まで行って、盛り上がったという。

 

世間は広い。だけど飛び込めば、徐々に狭くなる。

その体験を積み、それが楽しいという感覚を学んでもらいたい。

広い世間を狭くするのは、自分だ。

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